
親の介護、そろそろ考えないといけないけど、お金は一体いくらかかるんだろう…
施設に入れると高いって聞くけど、在宅なら安く済むのかな?
正直、自分の生活への負担も心配…
働きながら親の介護について考え始める皆さんにとって、介護費用は切実な問題ですよね。
具体的な金額が見えないと、不安ばかりが募ってしまうかもしれません。
・介護費用の基本的な考え方
・在宅介護 vs 施設介護 の費用シミュレーション
・費用以外に考えるべきポイント
・費用を抑えるためのヒント
などを分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、在宅と施設それぞれの費用の目安が分かり、ご自身の状況に合わせてどちらが現実的か、どんな準備が必要かが見えてくるはずです。漠然とした不安を具体的な計画に変えるための一歩として、ぜひ参考にしてくださいね。
まず知っておきたい!介護費用の基本
介護費用について考える前に、基本となる仕組みを理解しておきましょう。
介護保険サービスと自己負担割合
日本では、40歳以上の国民が加入する介護保険制度があります。要介護(要支援)認定を受けると、原則として費用の1割(所得に応じて2割または3割)で様々な介護サービスを利用できます。
この自己負担割合が、介護費用を考える上でとても重要になります。
初期費用と月額費用
介護費用には、大きく分けて「初期費用」と「月額費用」があります。
- 初期費用: 介護のために一時的にかかる費用(例:住宅改修費、福祉用具購入費、施設入居時の一時金など)
- 月額費用: 毎月継続的にかかる費用(例:介護サービス自己負担、食費、家賃、管理費、消耗品費など)
施設入居の場合、高額な初期費用(入居一時金)が必要な場合もあるため、事前確認が必要です。
介護にかかる費用の平均は?最新データでチェック
全体平均はいくら?
厚生労働省の調査によると、介護にかかる費用の平均月額は約8万〜15万円程度。
これは、在宅・施設・介護保険の利用状況などにより大きく変わります。
✅ 介護サービス利用料:平均5万〜10万円/月
✅ 医療費・通院費:1万〜3万円/月
✅ おむつ・介護用品代:5千〜1万円/月
これに加えて、施設に入ると食費や居住費などがさらにかかってきます
【シミュレーション】在宅介護の場合
まずは、住み慣れた自宅で介護を受ける「在宅介護」の費用を見ていきます。
月額費用の内訳(例:要介護3・自己負担1割の場合)
在宅介護の費用は、利用するサービスの種類や量によって大きく変動します。ここでは一例として、要介護3の方が利用するケースを考えてみます。
- 介護保険サービス自己負担 (利用限度額内)
- 訪問介護(週5回程度):約12,000円
- デイサービス(週3回程度):約8,000円
- 福祉用具レンタル(ベッド、車椅子など):約3,000円
- 小計:約23,000円
- 介護保険外の費用
- 配食サービス(昼・夕):約30,000円
- おむつ・パッド代など消耗品:約10,000円
- 医療費(持病などによる):約5,000円~
- 小計:約45,000円~
➡︎ 月額合計(目安):約68,000円~

あれ?思ったより安いかも?これなら在宅の方が良さそう…?
確かに月額だけ見ると安く見えるかもしれませんね。
でも、注意点もあるんです。
・介護保険の上限を超えてサービスを使うと全額自己負担になる
・住宅改修が必要なら初期費用がかかる。
・家族が介護に費やす時間や労力、場合によっては介護離職による収入減も考えられる。
在宅介護のメリット・デメリット(費用面)
✅ メリット
- 施設に比べ、月額の固定費(家賃・管理費など)がかからない場合が多い。
- 必要なサービスを組み合わせて利用するため、費用を調整しやすい。
- 住み慣れた環境で生活できる(ご本人の精神的安定)。
✅ デメリット
- 介護度が上がるとサービス利用が増え、費用が高額になる可能性がある。
- おむつ代などの消耗品費や光熱費が増加する傾向がある。
- 住宅改修が必要な場合、まとまった初期費用がかかる。
- 家族が介護する場合、時間的・身体的負担に加え、介護離職による収入減のリスクがある。
【シミュレーション】施設介護の場合
次に、介護施設に入居する場合の費用を見てみましょう。施設の種類によって費用は大きく異なります。
施設の種類と費用の目安
- 特別養護老人ホーム(特養): 公的な施設で費用は比較的安価。月額8万円~15万円程度が目安(多床室か個室か、所得などで変動)。ただし、要介護3以上の人限定。待機者が多い。
- 介護老人保健施設(老健): リハビリ中心で在宅復帰を目指す施設。月額10万円~18万円程度が目安。
原則として長期入所はできない。 - 有料老人ホーム: 民間施設で、設備やサービス内容が多様。費用も幅広く、月額15万円~数十万円。
入居一時金が必要な場合も多い(0円~数千万円)。 - サービス付き高齢者向け住宅(サ高住): 比較的自立度が高い方向け。月額10万円~30万円程度。
別途介護サービス費が必要な場合が多い。
同じ施設でも、金額が異なる場合もあるので施設に問い合わせして、金額を確認するのも良いです。
有料老人ホームは選択肢が多いですが、その分費用も様々です。入居一時金についても、施設によって考え方が違うので、しっかり確認することが大切です
月額費用の内訳(例:介護付き有料老人ホーム)
ここでは、中価格帯の介護付き有料老人ホーム(入居一時金なし、要介護3、自己負担1割)を例に見てみましょう。
管理費:約30,000円
介護保険サービス自己負担(包括的な場合が多い):約25,000円
※上記はあくまで一例です。
立地やサービス内容、居室タイプによって大きく異なります。
施設介護のメリット・デメリット(費用面)
✅ メリット
- 家賃・管理費・食費・介護費などが含まれ、月々の支出がある程度一定になり、見通しを立てやすい。
- 介護に必要な設備が整っており、住宅改修などの初期費用が不要。
- 24時間体制で介護を受けられ、家族の介護負担が大幅に軽減される(離職リスク減)。
✅ デメリット
- 在宅介護に比べ、月額費用は高額になる傾向がある。
- 入居一時金が高額な場合があり、初期負担が大きいケースも。
- 施設によっては、おむつ代や医療費などが別途必要になる場合がある。
在宅と施設、費用以外に考えるべきこと
費用は重要な判断材料ですが、それ以外にも考える事もあります。
以下の点も考慮して、ご家族にとって最適な選択をしましょう。
1.ご本人の希望と心身の状態: 最も尊重すべき点です。認知症の有無や医療ケアの必要性
2.家族の介護力と生活への影響: 誰が、どの程度介護に関われるか。仕事や他の家族とのバランスは取れるか
3.地域の介護資源: 利用しやすいデイサービスや訪問介護事業所、入居可能な施設が地域にあるか
4.将来的な変化への備え: 介護度が進行した場合や、看取りまで考えた場合に、現在の選択が継続可能か
費用面だけでなく、ご本人の気持ちや、介護するご家族の生活も含めて、総合的に判断することが後悔しない選択につながります。
介護費用を抑えるためのポイント
少しでも費用負担を軽減するために、活用できる制度や工夫の仕方をお伝えします。
1.公的制度を最大限活用する
日本には下記の様に負担を軽くする制度があります。ただし申請が必要なので、知らないと損をします。
早めに確認・申請して、家計の負担を減らしましょう。
高額介護サービス費
介護保険の自己負担額が上限を超えた場合に払い戻される制度
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の自己負担合計額が年間の上限を超えた場合に払い戻される制度
自治体の助成制度
自治体独自の助成(おむつ代助成、住宅改修助成など)がないか確認しましょう
2.ケアプランを定期的に見直す
ケアマネージャーと相談し、必要十分なサービス内容になっているか確認しましょう。
利用者の状態が変われば、介護サービも減らせることもあります。
3.世帯分離の検討
親と子が別世帯になることで、介護保険の自己負担割合や利用料が軽減される場合があります。
ただし、他の行政サービスに影響が出る可能性もあるため、必ず専門家(ケアマネージャーや地域包括支援センター、税理士など)に相談してください。
4.複数の施設を比較検討する
施設入居を考える場合は、必ず複数の施設から資料を取り寄せ、見学し、費用やサービス内容を比較しましょう。
まとめ:費用を把握し、家族に合った選択を
今回は、在宅介護と施設介護にかかる費用について、シミュレーションを交えながら解説しました
- 介護費用は介護保険の自己負担+保険外費用で構成される。
- 在宅介護は月額費用を抑えられる可能性があるが、家族の負担や見えにくいコストも考慮が必要。
- 施設介護は月額費用が高めだが、支出が安定し、家族の負担は軽減される。施設の種類や入居一時金に注意。
- 費用だけでなく、本人の希望、家族の状況、将来性も考慮して総合的に判断することが重要。
- 公的制度の活用やケアプランの見直しで費用負担を軽減できる可能性がある。
まずは地域包括支援センターやケアマネージャーに相談し、ご自身のケースではどれくらいかかりそうか、具体的に試算してもらうことをおすすめしますよ
お金の心配は尽きないかもしれませんが、情報を集めて備えることで、漠然とした不安は着実な計画へと変わっていきます。
この記事が、皆さまのより良い選択のための一助となれば幸いです。